パンデミック

アナウンサーは険しい表情で
今日も昨日より不安な知らせ

封鎖されてしまった駅
期限切れになった切符
箱に仕舞われている靴

次の地図を描く僕達を
引き留めているつもり
邪魔をしているつもり

終わりの見えない祭りの前日
今日は昨日より念入りに準備

花畑を前にして

あの角にはクリーニング
その向こうには郵便局
見慣れている道を今日は
ひとつ手前で曲がってみる

春になるたびに庭石菖が
微笑むように揺れるあの家
見慣れてる道の先には
玉砂利を敷き詰めた花壇
建築中のモダンなアパート
お洒落な知らない場所

早く帰りなよとにわか雨が
薄手の服を濡らし始める
あの最後のステージで
呼んだ名前が胸に浮かんだ

準備〜0309

ずっと前から知ってた
年を重ねるたび大事になる
ずっと前から待ってた
指折り数える子供のように

今年は二月が二十九日
時間差に不思議な気がして
時計の針を気にしても
朝か夜かさえ知らないけど

花をレースで包んだり
ワインにリボンを結んだり
偽善活動をしてみたり
熱に浮かされる二十四時間